手術室ってどんなところ?

手術看護

初めての手術室

 どうも!
 手術室看護師です。みなさんは手術室入ったことありますか?
入りたくないし見たくもない、という方が大半でしょうか。でもドラマなんか見てると格好良く見えたりしませんか。しますよね、するんですよ。(圧)

 最近の医療ドラマは医者だけでなく、病理検査科であったり画像処理であったりと、いろいろなコメディカルにもスポットが当たっていますね。今後、手術室看護師が主役のドラマを期待するばかりです。

 さて、今回はそんな医療界の中枢である手術室をちょっと詳しく見てみましょう。知ると怖いけど、知ると面白いなんてことがあるかもしれませんよ。

 よろしくお願いします!

手術室

手術室の環境

清浄度

 手術室はもちろん清潔でなくてはなりません。しかし、ただ整理整頓、清掃が行き渡っているというだけではないです。清浄度がクラスに分けられており、一般的な手術室ではクラスⅡの「清潔区域」になります。天井からHEPAまたは高性能フィルターを介した空気が吹き出し、排気口から排出されると行った空調の流れをしています。
 また、使用用途によって陰圧か陽圧の部屋に分かれます。基本的には外からの菌が中に入り込まないよう陽圧室です。しかし、感染症患者の手術は外にウイルスを出さないよう陰圧室となっている部屋もあります。

機器

 手術室には様々な機器・医材があります。何の手術を行うかによって使用する機器が多少異なりますが、大抵使用する機器を紹介します。

手術ベッド

 当たり前と言われそうですが、手術をするためのベッドがあります。しかしこれは普通のベッドとは異なり、大人一人が寝て少し狭いと感じるくらいの横幅しかありません。これは、患者の両サイドに医師が立って手術を行うためで、少しでも術野が遠くならないようになっています。ただし、とても狭いので寝返りは打てませんし、暴れようとするとすぐにベッドから落ちてしまいます。
 また、手台は取れるようになっており、両手を体側につけた状態で手術を行うためです。
 患者さんが直接寝るマットは褥瘡予防のためのマットで、長時間の手術でも褥瘡ができにくいようになっています。

麻酔器

 読んで字の如く、麻酔を行う器械です。と言っても全ての麻酔を行う機器ではなく、基本的に全身麻酔で使用する機器となります。「人工呼吸器」といった方がピンときますかね。
 挿管された管を繋いで、器械的に呼吸を行います。酸素や空気、笑気を送ったり、吸入麻酔薬である「セボフルラン」「デスフルラン」を送り麻酔を維持します
 大体の機器はこれに患者の生体情報(バイタルサイン)を反映するモニターや、電子カルテが付属しています。主に麻酔科医が使用するもので、患者の頭側に置いてあります。

電気メス

 電気を使用したメス、通称電気メスの本体です。電気メスを使用することで、組織を焼却しながら切開できるため出血を抑えることができます。また、電気の流れ方を変えることで止血にも使用でき、現代の医療には欠かせない存在です。
 患者さんに電流が流れて感電しないよう、対極板といったシールを貼り、電気が電気メス本体に回収されるようにします。

無影灯

 ドラマなどでよく見かける大きな照明器具です。天井から吊り下げられ、1つの照明に沢山のライトが付いています。多くの光を多角的に当てることで影を減らすようにできています。「無影灯」とありますが、完全に影を無くすことは実際のところ難しく、スタッフの位置や術野によっては影ができてしまうことがあります。
 また、照明なだけにずっと光に当たっていると暑いです。

 以上が最低限使用する機器になります。これらの機器を正しく使用する知識も必要になります。麻酔器も主に麻酔科が使用しますが、麻酔科のいない局所麻酔症例で急変があった場合は、人員が確保できるまでは換気や酸素投与などできた方がいいですね。

 上記以外にも、整形外科では透視ができる「イメージ」(簡易レントゲンのようなもの)であったり、腹腔鏡の手術では「腹腔鏡用モニター」があり、心臓外科では「人工心肺」が必要だったりします。

 様々な手術に応じて、必要な機器を準備し、手術がスムーズに進むよう取り扱ったり調整したりするのも手術室看護師の役割だったりします。

手術に関わるスタッフ

 手術室にはどんなスタッフがいるでしょうか。ドラマなどでイメージできるけど、主役の医師以外何してるかよくわからん、という人が大半ではないでしょうか。少し掘り下げてみましょう。

医師

言わずもがな、医者がいないと手術ができません。しかしみなさんは手術は担当している医師一人が行うものなんて思っていませんよね?医師にも役割分担があり、皆協力して手術に望んでいます。

執刀医

 手術をメインで進めていく医師です。「執刀医」とあるように、メスを持つのはこの執刀医です。基本的には外来から受け持った主治医がその患者の執刀を行うことがほとんどですが、手術の難易度や担当する科が違えば、上級医や他科の担当医が執刀を任されることもあります。

第1(2)(3)助手

 執刀医をサポートする助手になります。上から第1助手、第2助手となり、手術によって助手の数は変わります。主に視野を広げたり、他の部位の処置を並行して進めたりなど多岐にわたって執刀医のサポートをします。

麻酔科医

 麻酔をかける医者です。全身麻酔から脊椎・硬膜外麻酔、神経ブロックなど、患者さんの全身状態を把握しながら手術そのものを支えます。術中の血圧の変動や血液ガスの乱れに対し、薬剤を使って正常を保つようにしています。また、患者さんの状態に応じて、心臓が悪ければ心機能を助ける薬剤を使ったり、出血が多くなって体の中のヘモグロビンが減ってたら輸血を行ったりと、安心して手術を進めることができるようにしています。

看護師

 看護師も様々な役割があり、多くの看護師が患者さんと関わりますが、ここでは手術室看護師の役割を紹介します。

外廻り看護師

 患者さんの入室前から退室後までをサポートします。入室前、前日では患者さんの病室を訪問し、手術当日の流れや麻酔に付いての説明を行います。意外な話、手術室看護師は病棟に訪問しない限り、患者さんとは手術室以外で会うことはほぼありません。一日中手術に付いていることも珍しくなく、患者さんの情報は大体電子カルテでの情報収集になります。なので、前訪問は説明兼情報収集もかねています。
 術中の役割は、麻酔の導入サポート、手術体位の設定、記録、ガーゼ類のカウント、物品準備、指示薬剤の準備、抜管介助、退室サポートなど多岐に渡ります。
 術後も何らかのイベント(術後の皮膚トラブルや神経症状の出現など)があれば訪問し、病棟の看護師に情報共有を行います。

器械出し看護師

 手術で清潔なガウンを着て、実際に執刀医、助手に機械類を渡す役割を担います。ただ渡すだけかと思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、きちんと術野を見て、今必要な器械・医材を判断し、医師が何も言わず手を出しただけで必要なものを渡すのが一流の機械だしです。
 そこまでできるようになるには、医師のクセや手術そのものの流れをしっかり把握しておく必要があります。言われたものを出すだけでは道は遠いですね。

臨床工学技士(ME)

 主に機器の点検や準備などを行なってくれています。先ほど出てきた手術室ベッドや電気メスなどの調整を行います。また、病棟などでもシリンジポンプや輸液ポンプの点検を行なっていたりと、医療機器のスペシャリスト的な立ち位置です。
 心臓血管外科では、「人工心肺」を動かしているのもこのMEさんで、専門的は知識や技術が光ります。

放射線技師

 手術後にはレントゲンを撮るのが一般的です。これは手術後体内に異物が残っていないか確認の意味もあります。また、ドレーンの位置が悪くないか、肺や心臓の状態が正常か、骨はきちんと繋がっているかなど最終確認のためでもあります。
 このレントゲンを撮影してくれるのが放射線技師さんです。また、血管造影などで放射線を扱う症例なんかもしっかりサポートしてくれます。

上にあげたスタッフが大体の手術で一緒に協力して頑張っています。一人ひとりの頑張りで患者さんを支えているのですね。まさにチーム医療の本領を発揮するのが手術室という場所なのかもしれません。

まとめ

 手術室のことを少しでも知ることができたでしょうか。サクッとおさらいしてみましょう!

手術室は①清潔な環境が整っており、感染対策を徹底しています
    ②沢山の医療機器があり、それらを使って手術を進めていきます
    ③手術には多くのスタッフ(医師、看護師、臨床工学技師、放射線技師など)が関わってお        
     り、チーム医療で患者さんを支えています

いかがでしたでしょうか。少しはイメージが湧きましたか?
手術室は閉鎖的な空間で、何やってるか(手術以外)よくわからんし不気味だー、からすこしでも変わっていたら幸いです。

 今回はこの辺で
また次回お会いしましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました