手術看護についての記念すべき第1回は「手術麻酔について」です。
麻酔は少し置いといて、皆さんは「手術」と聞くとどんな印象でしょうか。
「痛い」「怖い」「不安」など、まあネガティブなイメージですよね・・・。
実際、多かれ少なかれ体にメスを入れる訳ですから、「痛み」と無縁なはずがありません。
ですが、それを行う以上のメリットがあるから手術を行うのが大半でしょう。
「折れた骨を戻す」「ガン病変を摘出する」「生命の危機からの脱出(救命)」など、理由は様々ですね。
今回はその手術に必要不可欠な麻酔の役割や種類少し掘り下げて行こうと思います。
このブログをご覧の皆さんは現在どのような状況でしょうか。
①これから手術を控えている(本人、家族、友人など)
②今まで手術を経験したことがある(帝王切開、骨折、虫垂炎など)
③手術室内で勤務している(看護師、臨床検査技師、放射線技師など)
④手術とは無縁の人生だ(健康第一!)
上記様々な方がいらっしゃると思いますが、②の人は思い出に浸りながら眺めていただけたらと思います。手術室に配属になったばかりの新人ナースの方がいらっしゃいましたら、これから一緒に学んでいきましょう!
さて、そろそろ本題ですが、今回は「手術を受ける上で欠かせない麻酔」について説明していきたいと思います。
麻酔について
皆さんは麻酔方法には大まかに何種類くらいあると思いますか?
みんな大好き全身麻酔、腰から下は脊椎麻酔、日帰りできるよ局所麻酔
の3種類あたりが一般的でしょうか。一つひとつ見ていきましょう。
<全身麻酔>
麻酔といえば、ですね。こちらの麻酔は手術中完全に眠ってしまい、起こされるまで起きることはありません。3種類の薬剤 ①鎮痛薬 ②鎮静薬 ③筋弛緩薬 を使って眠らせ、挿管(口から細い管を入れる)し、人工呼吸器に接続します。全身麻酔にも吸入麻酔や全静脈麻酔などがあり、麻酔のかけ方にも種類があります。
手術中は麻酔科医のもと①〜③の薬剤を持続又は定期的に使用し、モニタリングしています。
手術が終わりに向かうのを見計らって、麻酔から覚めるよう薬剤を調整しているのですね。
<脊椎麻酔>
腰椎麻酔(脊椎くも膜下麻酔)とも呼ばれます。腰(ヘソ)から下の手術の際に選択されることが多いです。全身麻酔と違い、背中から細い針を刺して背骨の中の神経に近い場所(くも膜下腔)に麻酔薬を注入することによって、おおよそ刺した場所より下側の麻酔効果を得ます(厳密には薬剤の広がりにより皮膚文節や支配神経の麻酔範囲が異なります)。足の手術なんかはほぼ脊椎麻酔が多いです。
帝王切開が脊椎麻酔でできるのは、切開がヘソ下の横切開(腸管の手術なんかはヘソを跨いだ縦切開)なのもありますね。
なので、眠り薬などを使わなければ原則意識があります。個人差はありますが4〜5時間程度効果が持続します。
<局所麻酔>
文字の通り局所的に痛み止めを注射します。広義では脊椎麻酔も局所麻酔の分類です。ここではさらに範囲が限定的な局所浸潤麻酔のこととします。形成外科の「出来物(皮膚皮下腫瘍)」をとる手術なんかは局麻でやることがほとんどですね。痛み止めを直接患部に注射するので、その痛み止めが痛いです。だんだん効いてくるのですが、局麻範囲外の術操作だと痛みがくるため「不安」「恐怖」は完全には消えません(ほとんどが意識下ですし・・・)。
ここで言えるのは、痛い時は我慢せず素直に痛いと言いましょう!すぐに痛み止めを追加してくれるはずです。
以上がよくある麻酔3種類となると思います。だいたいの方が全身麻酔を希望するのですが、そもそも麻酔自体がリスクのある行為です。リスク高度でいえば上から①全身麻酔 ②脊椎麻酔 ③局所麻酔
の順になります。全身状態や手術部位を考慮して麻酔を選定していきますので、一概に全身麻酔が一番楽だという訳にはいかないみたいです。
もちろん寝てる間に終わってるのが一番気が楽なのは同意 笑。
今回はこの辺で
手術・麻酔について興味が出た方、手術を受ける前で漠然とした不安がなんとなく解消された方がいらっしゃったら幸いです。もちろん新人OP看が見て少しでも役にたったならなお嬉しいですね。
それでは今後も一緒に学んでいきましょう
ありがとうございました!
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